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ホストファミリーと過ごした夜について

みなさん、こんばんは。
チューリヒは秋を通り越し、冬の到来を感じてます。今年もブーツの季節がやってきました。

さて、忘れないうちにクララハスキルコンクールのことをいろいろ書きとめておきたいと思います。

clara haskil 014

私がコンクール期間中滞在させていただいたホストファミリーのおうちは、小高い丘の頂上で、周りは林、目の前に広がる畑はすべて彼らの所有で、お隣さんは山を下って10分という、練習環境にはもってこいのところにあります。車で山道をがたがた揺られてたどりつくと、そこは鳥のさえずりと時折鳴くこうもりかきつねかの鳴き声しか聞こえません。

閉ざされていて、自由で気ままで退屈な。というような場所。

ホストファミリーのアンヌさんはとてもクラシック音楽が好きで、
しばしいろいろな話をして、
「ところであなたはコンクールで何を弾くの?」と聞かれ、
「ベートーベンの作品109(後期のソナタ)」と答えると、彼女は
「それは素晴らしいわ、私いい録音持ってるの、もし気持ちに余裕があったら聴かない?」
と提案してくれたので、一緒に聴くことにしました。

clara haskil 037

夜の8時半ごろ、辺りはもううす暗くなっていて、二人で紅茶をいれてオーディオの置いてある、2階のリビングに行き、そこで思い思いの場所に座りました。
手元だけ電気をつけてわずかに残る夕方の明かりの中で窓も開けっ放し、するとアンヌさんが飼っている犬が足元にやってきて、眠り始めました。
そこで、静かに流れ始める109番のソナタ・・・・・

そのとき私は感じました。

ああこれはコンクールじゃないんだ。
音楽っていうのはそこにあるんじゃない。(わかっているけれど)
もっと個人的だ。でもそれぞれにとって個人的なのだ。
こうやって話が通じ合ったりお互いの距離を縮めたり、人間と人間の間にあるな、と。

すべてにひとが安心しているような音楽。

そしてアンヌさんは言いました。
「この曲の最後は、何でも起こりうる」


なんて美しいことを言うんだろう・・・!


なぜこの曲があるのかとか、なぜこの曲は美しいのだろうというのが
ほんの少しだけ、見えた気がした夜でした。

続く。


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プロフィール

Mari Kawagishi

Author:Mari Kawagishi
川岸麻理

ピアニスト。ダックスフント大好き。

神奈川県出身。東京藝術大学音楽学部附属音楽高等学校、同大学音楽学部を経て、同大学院修士課程ピアノ専攻を修了。2007年秋よりスイス政府奨学生としてチューリヒ音楽大学のソリストディプロマコースに留学し2010年に修了。

東京藝術大学卒業時に同声会賞受賞、同新人演奏会に出演。第75回 読売新人演奏会に出演。社団法人日本演奏連盟主催により東京文化会館小ホールにてピアノリサイタルを開催。
現代音楽室内楽国際コンクール(ポーランド)デュオ部門第3位。第19回カントゥ国際ピアノコンクール(イタリア)第2位。東京藝術大学大学院修了時に東京工業大学の入学式演奏会にソリストとして推薦され、東京工業大学管弦楽団とコンチェルトを共演。Musique en Valle du Tarnにピアニストとして招聘され、南仏にて連続ソロリサイタルを開催。

これまでに、Winterthur Musikkollegium、Orchestra Filarmonica "Mihail Jora" di Bacau 、東京工業大学管弦楽団、横須賀交響楽団、ヤマハ池袋吹奏楽団と共演。
Duo Epitaph(デュオ・エピタフ)、Ensamble Resonance(アンサンブル・レゾナンス)に所属。ヤマハ主催浜松管楽器アカデミー公式伴奏者。
現在、ソロ、室内楽及び伴奏等で国内外における演奏活動を行うとともに、後進の指導にあたっている。

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